心理学をビジネスに活かそう!(23)セルフ・アウェアネス(自己認識力)

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「あなたはどんな人ですか?」
そう尋ねられたら、どんな答えが浮かんできますか?

職業や所属、もっている資格、家族構成などの外側のこと、いわゆるプロフィールなら、すぐに浮かんできますね。その上で、自分の好きなこと、嫌いなこと、大切にしていること、譲れないこと、願っていること、なりたい姿・・・など、考え、こだわり、価値観、夢、目標、思い、感情など、その人にしかわからない自分自身の内側のことをすぐに意識できるとしたら「自己認識力=セルフ・アウェアネス」を高く発揮している状態と言えそうです。



■□■目次■□■□■□■□■

■セルフ・アウェアネス(自己認識力)とは
■セルフ・アウェアネスが役立つ場面
(1)リーダーシップ
(2)仕事の成果を高める
(3)満足度の高い仕事に就ける

■セルフ・アウェアネスを高めるエクササイズ
●エクササイズ(1) 「メンタルモデル」を見つけよう
●エクササイズ(2) 「フィードバック」を受ける
エクササイズ(3) 「ターニングポイント(転機)」を振り返る



■セルフ・アウェアネス(自己認識力)とは

自分自身の能力、感情、価値観、願望、行動パターン、強みや弱みを知り、それらがどのような影響・結果を自分や周囲に及ぼすか、正しく理解する能力です。自分の人生を前に進めることや、人との関係構築、または、リーダーシップにも大いに貢献する能力として注目されています。



では、セルフ・アウェアネス(自己認識力)は、どんなことに役立つのでしょうか。



■セルフ・アウェアネスが役立つ場面


(1)リーダーシップ

●心の声を聴き、誠実に行動できるリーダー

ビジョンを掲げ、自ら率先してメンバーを導き、鼓舞したり、励ましたりして組織や人を動かすリーダー像が、かつては一般的でした。卓越したビジネスモデル、数字、ロジックで語り、いかにして人を圧倒し、権力をもって人を動かすのか。


しかし、このスタイルが行き過ぎると、強い自己愛、自己陶酔に溺れ、また、成果追求だけに走るなど、自分を見失い、人として大切な倫理観を失って、道を踏み外してしまうかもしれません。



そうならないために、自分の内面に意識を向け、「本当は自分が何をしたいのか」「自分がやっていることは本当に正しいのか」、心の声に耳を傾け行動する必要があります。


●弱みを認め、メンバーの力を結集して不確実さを乗り越える

また、不確実性が高まり、何が正解か分からない現代。一人のリーダーだけの意思決定で動くリスクが高まっています。



マーケティング、研究開発、生産、営業、それぞれの分野の専門家が、何をつくり、どう売るのかを状況変化を察知しながら考えて決める。いわばメンバー全員がリーダーとして、それぞれの強みを発揮してチームに貢献する「シェアード・リーダーシップ」も近年では提唱されています。メンバー自身が自分自身の内省を深め、自分の強み弱みを伝え合うことが、各々がチーム内で価値を発揮することにつながります。

リーダーも、自分の「弱み」を率直に認めることで、部下や協力者の助けを得ることに成功します。結果として、望ましい組織成果を生み出すリーダーになれるのです。


(2)自分を良く知ることで、仕事の成果を高める

自己認識に優れた人は、自分の感情が自分自身、他者、自分の仕事の結果にどう影響するかを認識しているため、厳しい状況でも良い仕事をすることができます。

●計画的に仕事ができる人になる



仕事を計画的に進める人になります。厳しい日程では、自分は最低の成果しか出せないことを知っているからこそ、綿密な計画を立てるためです。結果的に時間の余裕をもって仕事を完了することができます。

●厳しい要求をする相手とも上手に付き合う



顧客や上司のどういう言動が、自分の気分にどう影響するか、イライラする原因を理解できるので、それを回避するために、むしろ肯定的・建設的な行動を取ろうとするのです。


(3)満足度の高い仕事に就ける

●自分の価値観や長期目標に合致した仕事を選ぶ

自己認識に欠ける人は、本当に大切な価値観を見ようとせずに、例えば楽に見える仕事、高い報酬の仕事など、欲に流されて誘われるままに仕事につくものの、自分のやるべき仕事ではないと後悔することもあるでしょう。



自己認識の高い人は、「自分が何を目標にしており」「なぜそれを目標にしているか」を深く理解しています。報酬面では魅力を感じるが、自分の根幹となる長期目標に合わない仕事なら、誘われても迷わずに断ることができます。大切な価値観に基づき選択した仕事は、まさに「やりがい」がある仕事であり、仕事そのものが活力源になります。自己認識力を発揮する人は、高いエンゲージメント状態を自ら作り出すことができる人でもあります。



では、どうすれば、自己認識力を高められるのでしょうか。



■セルフ・アウェアネスを高めるエクササイズ



●エクササイズ(1)「メンタルモデル」を見つけよう

「メンタルモデル」は、日頃は自覚なしに持っている価値観や思いのこと。
自分に「if~(もし~だったら)」と問いかけることでハッキリしてくることがあります。



Q1.もし、余命1年と宣告されたら、どう過ごしたいか
Q2.もし、何でもできる資金力があるとしたら、どんな仕事やキャリアを目指したいか
Q3.もし、大成功すると決まっているなら、就きたい仕事は何か?
Q4.もし、子孫に語り継がれるとしたら、どんなキャリアを歩み、どんな功績を残したいか
Q5.もし、あなたが第三者なら、キャリアの歩み方について、自分にどんなアドバイスをするか

さて、いかがでしょうか。どんな発見がありましたか。


●エクササイズ(2)「フィードバック」を受ける

自己認識には、自分で捉えている側面(内面的自己認識)と、他者からどう思われているかという側面(外面的自己認識)があります。



特に、他者からどう思われているか、見られているかを知るためには、他者からの率直なフィードバックを受けることです。次の2つの質問に率直に答えてもらいましょう。

Q1.「あなたには、私がどう見えますか?」
Q2.「私がここを変えるともっとうまくいく、と思う点は何ですか?」

ここで大切なのは、反論しないこと。
あなたはそんなつもりは無くても、あなたの何かがそう見せていることを受け容れましょう。


(1)メンタルモデルと(2)フィードバックのエクササイズは、EQ(感情知能)セミナー内でも提供しています。

★EQ(感情知能)セミナー


●エクササイズ(3) 「ターニングポイント(転機)」を振り返る

現在の自分(リーダーとして、または人間としての自分等)を形作ったターニングポイント(転機)となったものは何かを洗い出してみましょう。



ヒント1 自分に大きな影響を与えた「人」は?

ヒント2 今の自分を育んだ「環境」とは?

ヒント3 自分に変化をもたらした「出来事」は?

特に3の「出来事」について言えば、当時は大ピンチだったが、それを乗り越えることで得られた「教訓」が、現在活きているとすれば、当時はあんなに苦しかった逆境や困難でさえ、「あの出来事があるから今の自分がある」と、愛おしく見えてきます。

→ヒント3「出来事」を振り返るワークは、「レジリエンス研修」内でも提供しているエクササイズです。

★「レジリエンス研修」逆境や困難を機会と捉え、成長の原動力にできる人になる

 


人生100年時代と言われます。


満足度の高い仕事に就いたり、周囲と良い影響を及ぼし合うリーダーシップを発揮するなど、より良いキャリアを築いていく上でも、「セルフ・アウェアネス(自己認識力)」を高めていきたいものですね。

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