「学生が何を基準に企業を選んでいるのか分からないまま、説明会の資料を作っている気がする」
最近、採用担当者からそんな声をよく耳にします。
採用広報の現場では、学生がどんな“軸”を持って就職活動をしているのかを把握することが、いまや前提条件になっています。企業側が伝えたいことと、学生が知りたいこと。その間にズレがあると、どんなに丁寧にプレゼンしても印象には残りません。
では、27卒の学生たちはどんな価値観を持って企業を見ているのでしょうか。
マイナビが2025年10月に公表した「27卒 学生のインターンシップ調査」(※1)によると、夏のインターンシップを経験した学生の約7割が、「なんとなく」「はっきりと」自身の就職活動の軸を明確に持つようになったと回答しています。
出典:マイナビ 2027年卒 大学生キャリア意向調査(中間総括) <インターンシップ・キャリア形成活動>
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2025/10/s-internship-27-010-001.pdf
この結果は、企業にとって大きな意味を持ちます。
つまり、本選考が始まるこの時期、学生は「自分に合う会社か」「自分のやりたいことができるか」をより明確に意識して企業を選び始めているということです。単なる“情報収集”の段階ではなく、“見極め”の段階に入っているのです。
そのため、会社説明会も「企業を知ってもらう場」から、「学生が自分の軸と照らし合わせて考える場」へと性質が変わりつつあります。
同調査によると、学生が企業選びで重視する項目の上位には次のようなポイントが挙げられています。
自分の強みを活かせる仕事であること
やりがいを感じられること
安定して働けること
出典:マイナビ 2027年卒 大学生キャリア意向調査(中間総括) <インターンシップ・キャリア形成活動>
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2025/10/s-internship-27-010-001.pdf
かつては「給与」や「知名度」といった条件面を重視する傾向も見られましたが、27卒世代では“自己理解”を軸にした価値観がより強くなっています。
学生たちは、インターンを通じて自分の得意・不得意、興味・関心をある程度整理しています。そのうえで、「自分の強みが活かせるか」「長く働ける安心感があるか」といった観点から企業を見ています。
言い換えれば、学生は“会社説明を聞きたい”のではなく、“自分がこの会社でどんなふうに働けるか”を知りたいのです。
こうした学生心理を踏まえると、会社説明会をはじめとした企業PRで、企業が考えるべきポイントは明確です。
次の3つの質問に“学生視点で”答えられているかどうか、ぜひ自社のプレゼン内容を見直してみてください。
自分のどんな強みが生かせる仕事なのか?
→ 学生がイメージできるように、実際の業務プロセスやチーム体制を具体的に伝える。
この仕事の一番のやりがいは?
→ 数字や目標よりも、「どんな瞬間に達成感を感じるか」を社員の言葉で伝える。
会社としてのPRポイントは?
→ 他社との違いを、抽象的なスローガンではなく“具体的な制度・文化・行動”で示す。
この3点が説明会の中でしっかり語られていれば、学生は自分の軸と照らし合わせながら「ここで働くイメージ」を持つことができます。逆に、この問いに答えられていない説明会は、どれだけデザインや映像が整っていても記憶には残りません。
今の学生は、就職活動を通して“自分を知る旅”をしています。
だからこそ、企業のプレゼンも「情報を伝える場」から「共感を設計する場」へと変えていく必要があります。
メッセージの主語を“会社”ではなく“学生”に置き換えるだけでも、伝わり方が大きく変わります。
たとえば、「当社は挑戦を大切にしています」という一方的なメッセージよりも、
「あなたの挑戦を歓迎する文化があります」と伝える方が、学生は自分ごととして受け取ります。
「自社の説明会、学生の“軸”に響く構成になっているか分からない」
「他社との差別化ポイントを整理し直したい」
そんな採用担当者の方へ、説明会設計・採用ピッチ改善の無料相談会を実施しています。
最新データや学生動向を踏まえながら、貴社の強みを整理し、“共感されるメッセージ”へと磨き上げます。
焦りや不安が出やすいこの時期だからこそ、学生のリアルな視点に立ち返って、伝え方を再設計してみませんか。