今求められる、人事における「経営言語」と「現場言語」の翻訳 ~なぜ、人事部長と採用担当の議論はかみ合わないのか~

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人事責任者と話していると、ある種の共通した戸惑いに頻繁に出会います。 

「現場から上がってくる採用施策の提案が、以前より理解しづらくなっている」 

担当者の能力の問題ではありません。 
背景にあるのは、採用市場そのものの構造変化です。 

実際、ここ数年で採用を取り巻く前提条件は大きく変わっています。 

・求人手法の増加 
・アルゴリズム活用の進展 
・採用コストの上昇 
・人事業務の複雑化 

これらは感覚論ではなく、各種調査にもはっきり表れています。 

例えば、採用手法の多様化については、調査会社や人材企業のレポートでも繰り返し指摘されています。 

参考:マンパワーグループ,2024.6.10 

問題は、手法が増えたことそのものではなく、意思決定の難易度が跳ね上がったことです。 




目次

① 母集団形成手法の多様化

かつて母集団形成の選択肢は比較的単純でした。 

求人媒体 
人材紹介 
縁故・リファラル 

この組み合わせをどう最適化するか、という世界です。 

ところが現在は、 

ダイレクトリクルーティング 
SNS活用 
採用広告運用 
タレントプール 
アルムナイ施策 

など、検討すべき領域が急増しています。 

選択肢の増加は一見ポジティブですが、経営視点で見ると話は別です。 

どれを選ぶかではなく、 
なぜそれを選ぶのかが問われる。 

この説明責任が極端に重くなりました。 

現場は往々にして「最近よく聞く」「競合もやっている」という語り方をします。 
一方、決裁権者が見ているのは「再現性」「採用コスト」「計画達成確率」です。 

この視点の非互換性が、議論を難しくします。 

 

② 「マッチング」概念の登場

採用議論をさらに変質させたのが、「マッチング」という考え方の進化です。 

以前の採用は露出量の勝負でした。 
どれだけ多くの候補者に届けるか。 

そのため原稿は、比較的情緒的な領域に属していました。 

共感 
イメージ 
魅力づけ 

しかし現在、推薦アルゴリズムや最適化技術の進展により、「誰に届いたか」が直接的な成果差を生みます。 

クリック率 
応募率 
コンバージョン 
採用単価 

これらは完全に経営指標です。 

実際、大手プラットフォームや求人サービス各社の公開資料を見ても、「表示回数」より「適合度」「マッチング精度」が重視される文脈へ移行していることは明らかです。 

つまり採用原稿はもはや単なる表現物ではありません。投資効率を左右する変数です。 

この前提を共有できないと、現場提案は経営側から「評価不能」に見えてしまいます。 

 

③ 「人事の工数・負荷」が経営問題になる時代 

もうひとつ、静かに進んでいる変化があります。 

人事業務の肥大化です。 

③ 「人事の工数・負荷」が経営問題になる時代

もうひとつ、静かに進んでいる変化があります。 

人事業務の肥大化です。 

採用管理 
候補者対応 
データ処理 
施策運用 
歩留まり改善 

これらは年々高度化しています。 

各種HR関連調査でも、人事担当者の業務負荷増大やリソース不足は繰り返し示されています。 
特に採用領域は「専門職化」「運用職化」が進んでいます。 

さらに「働き方改革」の進行、また近々、労働基準法の大改正が取り沙汰されており、業務の時間的制約は日に日に増しています。 

参考:jinjer 2026.2.6 2026年の労働基準法の改正は見送り?施行時期や議論中のテーマを解説 

https://hcm-jinjer.com/blog/jinji/labor-standards-act_amendment/ 

にもかかわらず、 

「まずは自分たちでやるべき」 
「外注はコスト増」 

という旧来の発想が残りやすい。 

しかし工数はコストではありません。 
経営資源です。 

人事の時間配分は、採用速度だけでなく組織全体の機会損失に直結します。 

 

なぜ、人事部長と採用担当の議論はかみ合わないのか

本質は非常にシンプルです。 

現場は施策で語る 
経営は指標で語る 

この間に翻訳が存在しない。 

採用市場の変化によって、人事施策は完全に経営領域へ接続されました。 
にもかかわらず、言語体系だけが更新されていない。 

このズレが摩擦を生みます。 

 

今、人事に必要な機能

新しい手法の導入ではありません。 

経営指標との接続 
・投資文脈での説明 
・現場感覚の構造化 

この翻訳機能です。 

採用施策が通らない組織の多くは、施策の良し悪しではなく言語変換の不在で躓いています。 

議論を前に進めるために

もし、 

・採用施策の優先順位が決まらない 
・提案が感覚論に流れる 
・経営との議論が噛み合わない 

こうした状況が続いているなら、一度視点整理を挟む方が早い場合があります。 

採用戦略や人事施策の経営言語化に関する相談会も行っています。 

個別の施策論ではなく、 

なぜその議論がズレるのか 
どの指標に接続すべきか 
どこを定量化すべきか 

この部分を整理する場です。 

採用を「頑張る活動」から「判断可能な経営テーマ」へ。 
議論の土台から見直してみませんか。 





 
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