心理学をビジネスに活かそう!(4)アンダーマイニング効果

カテゴリ
人事コラム  教育・研修  社員を育てたい 
タグ

良い行動を促そうとして用意した賞金や表彰などのインセンティブが、元々やる気のあった人のモチベーションを下げてしまうとしたらどうでしょうか。

私たちは、誰に言われたわけでもなく、面白くて夢中になって自発的に取り組んでいることがあります。その時、私たちの行動を促しているものを内発的モチベーションと呼びます。

好奇心や探求心、自己有能感などから動機づけられた行動です。

ところが、このように内発的に動機付けられた自発的な行動に対して、報酬やご褒美といった外発的動機付けを提示することで、かえってモチベーションが減少してしまうことが知られています。

「アンダーマイニング効果」と呼ばれます。


■アンダーマイニング効果とは

心理学者エドワード・L・デシ(Edward L. Deci)とスタンフォード大学教授マーク・R・レッパー(Mark R. Lepper)が1971年に行った、次の実験によって明らかになりました。



彼らは、大学生を2つのグループに分け、以下3つのセッションを実施しました。

Step1:ABグループともパズルを解いてもらう

Step2:パズルが解けるたびに、Aグループだけご褒美を与え、Bグループには与えない

Step3:再びAグループ、Bグループにパズルを解いてもらう

結果、Step3では、AグループはBグループに比べてパズルに触れる時間が少なくなりました。
つまり、ご褒美を与えられたグループの方が、パズルを解く行動が減少したわけです。

Aグループは「パズルは報酬を得るための手段に過ぎない」と感じるようになり、モチベーションが低下してしまったのです。



普通に考えると、ご褒美(報酬)をもらえた方が、やる気は高まりそうなものですが、内発的モチベーションによって喚起されている行動に関しては、報酬を与えることは、せっかく育まれていた内発的モチベーションを低下させるため、逆効果となることが明らかになりました。



このアンダーマイニング効果は、人事制度や部下への接し方、マーケティングでのキャンペーンなどにおいても活用できます。

行動促進をねらって提供する報酬やインセンティブが、かえって人の自発的な行動のモチベーションを失わせてしまうことにならないか、気をつけたいものですね。

 

関連記事

【応募単価4,000円】 横浜の個人ラーメン店が1か月で20応募を獲得できた理由

【適性検査のシンプル化のススメ】 離脱が増える時代に、どう選考フローを設計するべきか

【就活イベントで採用担当者が行うべきこと】 学生が“振り向き”、その後の選考につながる接点設計とは?

【応募数を増やすために意識すべきちょっとしたポイント】原稿効果改善のコツの話

【新卒採用】大学半径1kmにだけ配信できる??Instagramを「ピンポイント」に活用する方法を解説!