(A) この商品は購入者の90%の人が「満足」と回答しています。
(B) この商品の購入者で「不満」と回答した人は10%です。
さて、(A)(B)どちらのキャッチフレーズが、販売数が上がるでしょうか。
■フレーミング効果
実は(A)のキャッチフレーズで宣伝した方が、購入者が圧倒的に多くなると考えられます。
「満足」+「不満」=100%とするならば、合理的に考えて、(A)(B)とも満足度は同じです。ところが私たちは、同じ意味を持つ情報であっても、どこを切り取るか(フレーム)、どう伝えるかによって、受け止め方が変わり、その受け止め方によって、必ずしも合理的とは言えない意思決定を行ってしまうのです。
これは「フレーミング効果」と呼ばれ、1981年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーニマンと心理学者エイモス・トヴェルスキーによって提唱された概念です。
■お得さを感じる「ポジティブ・フレーミング」
●「満足」「効果」のパーセンテージ
先程の「90%が満足と回答!」とか「8割の方が効果を実感!」などは、多くの商品の宣伝でキャッチフレーズに使われています。
●大き目の数値がインパクトあり
他にも、栄養ドリンクなら「タウリン3g」ではなく「タウリン3000mg」と表示するなど、見た目の数字を大きくする単位で表示してあるものをよく目にしますね。
●「10%OFF」 vs. 「10%ポイント還元」 どっちがお得?
「10%ポイント還元」は、次回1万円分の商品を無料で買って、総額11万円に対して10万円払うことになるので、値引率は実は9.1%なのですが、なぜか10%得したように感じますよね。
■損失を回避したくなる「ネガティブ・フレーミング」
「日本人の2人に1人はがんに罹患する時代」と聞けば、万一の時の治療費に備えて、月々の保険料を支払ってでも将来の治療費という損失回避のために「がん保険」に加入したくなるのではないでしょうか。
「血糖値が高いままだと動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの重大疾病リスクが・・・」と言われると、「少々お金を払っても、糖質コントロールサプリを摂取しておこう」という人も増えそうです。
■フレーミング効果も私たちの認知バイアスの一つ
このように、マーケティングや広告宣伝では、このフレーミング効果が巧みに使われています。
一方、私たちが購入者になった時は、そのフレーズが本当に意味していることは何か、冷静に合理的に考えてみるのも良いかもしれません。