心理学をビジネスに活かそう!(21)囚人のジレンマ 生存競争を勝ち抜く戦略

カテゴリ
人事コラム  教育・研修  社員を育てたい 
タグ
双方がそれぞれの最善の利益を追求すると、最終的には両方が不利な結果になる状況のこと。「囚人のジレンマ」と呼ばれるゲーム理論の一つのことです。

■囚人のジレンマ

逮捕取り調べ中の2人の共犯者。

彼らは2つの選択肢を持っています。

黙秘するか、もう一方(相手)を告発すること。

もし両者とも黙秘すれば、軽い罪で1年の刑を受けることになる。

しかし、一方が他方を告発し、もう一方が黙秘すれば、
告発した方は釈放され、黙秘した方は3年の刑を受ける。

もし両者とも相手を告発すれば、それぞれが3年の刑を受けることになる。



個人にとって最も有利な結果は「自分が釈放されること」です。
それには、相手を告発する(裏切る)必要があります。

次に有利なのは、互いに黙秘して軽い刑(1年の刑)で済ますこと。

しかし、相手の出方が、わからないことが問題です。
自分が黙秘しても、相手が告発する(裏切る)かもしれません。
自分だけが重い刑(3年の刑)で損をしてしまいます。

そして、互いに裏切ることになれば、2人とも重い刑(3年の刑)で、最悪の結果となってしまいます。

二人の囚人が、それぞれ単独で自分の利益を最大化しようとすると、結果的には両者とも不利な状況になるというパラドックスです。

このケースで最悪の状況に陥らないためには、囚人2人の間で「相手は黙秘する(裏切らない)」という信頼関係が必要になってきます。


■不毛な価格競争

では、ビジネスでは、どうでしょうか。

機能・性能もブランド力もほぼ拮抗している2つのライバルPCメーカー(A社・B社)が、10万円の設定で新機種販売を開始します。



市場の規模は、20万台の販売見通し。
同じ価格なら、2社の製品は10万台ずつ、販売が見込まれるとします。

また、1万円値引きした9万円で販売すれば、ライバルの顧客をすべて奪い取れると仮定しましょう。



2社とも10万円で売れば、売上が2社とも100億円です。

自社が10万円で販売しているのに、ライバル社が9万円に値下げすると、自社の売上は0となってしまうため、0は避けたい、しかも、相手の出方が分からないとすると、どちらも9万円で販売することが必要となってしまい、2社とも10億円の売上減となっていきます。

この状況を繰り返していくと、どうなるでしょうか。
相手が9万円なら、こちらは8万円・・・となれば、互いの収益を圧迫していく不毛な戦いに陥ってしまいます。


■ジレンマの解消のために

価格競争による利益損失を避けたいものです。
互いに「相手は値下げしない」と信頼し合う「協調戦略」が望ましいことがあります。
ただし、2社で価格を申し合わせてしまうと、法令違反になってしまいますね。

「ライバルが値下げしたら、こちらも値下げする」
このような宣言が有効な場合があるようです。

「他店より1円でも高かったら値下げします!」家電量販店のキャッチコピーですね。




やはり、追求したいのは、自社の本当の価値で差別化すること。

つまり、価格ではない要素、品質、機能、ブランド認知力、付加サービス、顧客との関係構築で勝負ポイントをつくる。
直接的な価格競争を回避し、持続可能なビジネス戦略を構築していきたいものです。




関連記事

【新卒採用】26卒の採用市場動向から見る「ワンキャリア」活用術

新年度に考えたい「採用ツール」の役割と、戦略的に使う方法

【飛竜企画設立50周年特別企画】特別講演会&懇親会を実施致しました!

闇バイト?ホワイトバイト?応募者から誤解されない求人内容のつくり方

今年度こそ「自社の採用プレゼンテーション」を真剣に考えよう