今、あなたが、解決できないでいる問題はありますか。もし、今夜眠っている間に奇跡が起こって、目覚めた時、すべての問題が解決していたとしたら、その時、あなたには、何が起こりますか?
「もし奇跡(ミラクル)が起きたら・・・」という、非現実的な問い(クエスチョン)を投げかけることで、問題を解決していく心理療法があります。
心理療法家の夫婦であるインスーキム・バーグとスティーブ・ド・シェイザーが開発した「ミラクル・クエスチョン」と呼ばれる手法です。
■ミラクル・クエスチョンとは
重い悩みを抱えたり、いくつかの問題が重なったりしたとき、何から手をつけたら良いか分からず、また、気持ちが沈んで、何をしても上手くいかないように感じることがあるでしょう。
何がいけなかったのか、誰のせいか、原因を考えれば考えるほど、思考は現状や過去に向かってしまいます。できない理由がたくさん押し寄せてきて、前に進めなくなってしまいがちです。
そんな時こそ、ミラクル・クエスチョンを投げかけてみましょう。
すべての悪条件や制約条件を取り払い、「もし奇跡が起きたら・・・自分の生活や人生はどう変わるのか、どんな良い人生になるのだろうか・・・と想像してもらう」ことから始めます。
苦しい現状や過去ではなく、「ありたい未来」を考え出すことになりますね。
また、何によって問題が解決しているか・・・に思考をめぐらすことで、「何かしら解決方法はある」ということに気づくことになるでしょう。
●未来を考えることは、積極性や主体性を高めます。
「未来は変えられる」と気づくこと。
自分の人生は自分のもの。自分がどう関われるのか、自分ごととして考える積極性と主体性を高めます。
初めは「空想のような未来」でも、思考が進むと、より「現実的な未来」に変わります。
それは、理想の未来に少しでも近づくための具体的な解決策を考え出すからです。
未来志向、解決志向を生み出す。これが、ミラクル・クエスチョンの効能です。
■ミラクル・クエスチョンをビジネスシーンで活用する
個人向けの心理療法「ブリーフ・セラピー」における手法ですが、実は、ビジネス推進や経営やキャリア形成の意思決定にも活用が可能です。
例えば、新事業推進のための会議。
よく「反対」や「疑問」の声が上がります。
・「資金が足りない」 「人手が足りない」
・「本当に競合に勝てるのか」
・「実績がない」
・「前の事業も失敗したじゃないか」
・「失敗したらどう責任を取るんだ」
反対派・慎重派の関心は、現状や過去に向きがちです。「出来ない理由」「ダメだった時のこと」「責任の所在」に話が集中し、議論は前に進みません。
では、ミラクル・クエスチョンを投げかけてみたら、どう変化するでしょうか。
「もし奇跡が起こり、大成功したら、自社は、どう変化しますか?」
・業界初の偉業を成し遂げて、高い評価や知名度を得た自社の姿。
・皆で困難を乗り越え、連帯感と自己有能感を共有している社員たち。
・高業績・高収益を社員に還元し、働きがいのある職場が実現している。
・離職率が下がり、優秀な人材の入社希望者が殺到する会社に成長している。
「もし、成功したとすれば、何が奇跡を起こしたのだと想像できますか?」
・これまでに無い資金調達のやり方を導入したこと。
・理想を達成する熱量が社員の共感と協力を呼び、人出不足を克服したこと。
・どうしたら成功できるか、制約なしに自由に議論できたこと。
「この理想の姿に近づくために、まず、私たちができること」
ここに集中することで、突破口が開け、前進していけそうですね。
●「ミラクル・クエスチョン」は、未来志向、解決志向。
「SFA=ソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向アプローチ)」の手法として、個人向けカウンセリングだけでなく、組織の意思決定やビジネス推進、*キャリア形成支援にも大いに役立つでしょう。
※<参考>
●ギャップアプローチとポジティブアプローチ
●1年目フォローアップ研修