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心理学をビジネスに活かそう!(9)SOC 首尾一貫感覚

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心理学をビジネスに活かそう!(9)SOC 首尾一貫感覚

仕事で難しい状況に陥ったり、困難な仕事を抱えてストレスを感じている時、皆さんはどのように切り抜けていますか。そんなストレスに強くなるために備えておきたいもの。それは「SOC(Sense of Coherence)首尾一貫感覚」です。

■SOC(Sense of Coherence)首尾一貫感覚


SOCはユダヤ系アメリカ人の医療社会学者アントノフスキーが唱えた概念です。

彼は第2次大戦中に捕虜生活を送った体験を持つ人のインタビューを通して、困難な状況の中でも健康でいられる人と、健康を害してしまう人の違いを研究しました。 

健康でいられた人々に共通していた3つの感覚を「SOC首尾一貫感覚」と呼んだのです。

  

1.有意味感

 自分が取り組む仕事に「意味」「意義」を見出せるかです。


上司から命令されてやっている仕事、今は面白いとは思えない仕事でも、別の角度や視点から、今自分が携わる意味や面白味を見つけようとする柔軟な姿勢です。取り組む「意味」を見出した仕事には、本人の内発的な動機づけがなされ、自ずとモチベーションが上がり、ストレスを感じにくくなります。

上司が部下に仕事を与える時は、部下が「有意味感」を持てるように任せることが大切です。部下のモチベーションを高めることが上手な上司は、仕事の意味や意義を腑に落ちるように伝えています。

 

2.全体把握感

 
仕事の見通しを立てる力です。

忙しい時、先の見えないトンネルの中にいるような感覚が続くと八方ふさがりな閉塞感に襲われて気力が萎えてしまいがち。


全体把握感があれば、「今は、仕事のどの段階にあり、もう少し頑張れば終わりが見えてくる」など、トンネルの先に光が見える状態になるのです。マラソンでもそうですが、人はゴールが見えてくると、驚くほど力が湧いてきます。

また、全体を見通した上で状況が悪いのであれば、危機に先んじて「援助」を求めることもできます。手の空いている人に手伝ってもらうことで切り抜けられることもありますよね。


マネージャーは、全行程の中で、今、どの位置にいるのかを部下に示すことが役立ちます。

 
3.経験的処理可能感


自分の成功体験を踏まえて、この新しく取り組んでいる仕事も「きっとできる」と確信する力です。

これは自己効力感とも言われ、この感覚を持てれば、たとえ未知の領域での仕事でも、不必要に不安を感じません。

臆することなく取り組めます。



逆にこの感覚が持てない人は、未経験の仕事や従来より難易度が高いと思う仕事には強い不安を感じてしまいがち。

もし、経験的処理可能感(自己効力感)が低い部下には、100%を求めず、「まずは60%でもいいので、出来るところまでやってみよう」というような支援的な接し方で仕事を与えると良いでしょう。

少し背伸びすれば届くところに仮のゴールをつくって、そこまでは達成させることで、その部下の成功体験も増やせます。


■ストレス・フリーなチームビルディングのために



このように、「意味を見出す力」「段階・プロセスを見通す力」「成功体験に基づく自信」を育みながら、部下をマネジメントする上司は、無駄なストレスを無くし、高いモチベーションのチームづくりができると思います。

さて、皆さんは、今から部下とどんな話をしてみたいですか。

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