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新卒の職種別採用化で「採用ペルソナ」はどう変わるか

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新卒の職種別採用化で「採用ペルソナ」はどう変わるか

新卒採用の変化

株式会社ヒューマネージの調査によれば

“2024年3月卒予定の大学生・大学院生を対象とした新卒採用について、「職種別採用」の実施状況を確認したところ、全員を「職種別採用」で採用する企業は約4割(39.3%)に及ぶ。また、すべてではないが一部の職種で職種別採用をおこなう企業を合わせると、約6割(60.6%)の企業が「職種別採用」を実施していることがわかった。“

出典:新卒採用でも強まる“ジョブ型”傾向。約6割の企業が「職種別採用」を実施
~ ヒューマネージ、企業の採用動向調査を発表 ~

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000098.000055068.html

という結果が出ており、日本の新卒採用領域でも職種別採用はかなり定着してきたことがうかがわれます。

 一方で、採用ターゲットやペルソナの作りこみが、それに合わせてしっかり行われているかというと、必ずしもそうではありません。採用現場の中でも、「大まかにはペルソナの設計は合っているけれど、各々の採用フェーズで学生に接点を持っていると微妙にずれが生じ、このペルソナのままで進めてよいか疑問がある」というケースが増えています。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

「職種別採用」の定着。でも…採用ペルソナは会社軸?

総合職の考え方では、採用ペルソナは「会社軸」で決められる場合が多いです。
「ウチの会社にはこんな人が多くいるよね」
「ウチの会社が必要としているのはこういうスキルで、こういう志向性を持った人だ」
という会話が行われることが多いのではないでしょうか?

しかし、たとえば「理系営業職」と「文系営業職」、また「企画職」で、まったく同じペルソナが設定されていたら、そこには大きなミスマッチが起こります。

学生の志向性は、どのような職種を志向するかで大きく違うからです。

  • 文系営業職 ペルソナ例
    学部 文系(経営学部)
    サークル活動 バドミントン
    実家暮らし
    活発な性格。人見知りをせず、他者と会話をすることが好き。
    関係づくりの上手さを仕事で活かせたらよいと思い、営業職を志望。

  • 理系営業職 ペルソナ例
    学部 理系(工学部) 
    サークル活動 音楽サークル
    一人暮らし
    物事の仕組みに興味がある。

    あまり机の上でウンウン考えるタイプではなく、
    別ジャンルを専攻する友人と様々な知見を語り合うのが好き。

    じっくり物事を作りこむというよりは、
    知らない人に自分の知見を通訳するスキルを磨いて
    社会の役に立てたいと思っている。

  • マーケティング職 ペルソナ例
    学部 文系(経済学部)
    サークル活動 広告研究会
    一人暮らし
    早くから商品を売る仕組みに興味があり、分析が好き。
    スポーツを見ていても、試合の中身そのものよりも
    売店の新メニューに興味が行くタイプ。
こうしてみると、合っているものが一つもないように見えますね。
でも、当然こうした三人が同じ会社に入社することはあり得ます。

学生は、職種を自分で選びたい

"配属に関する考えを聞いたところ、最多は「勤務地・職種ともに自分で適性を判断して選びたい(55.6%)」だった。"
<出典>
「マイナビ 2025年卒 大学生活動実態調査 (6月)」を発表
https://www.mynavi.jp/news/2024/07/post_44399.html


 新卒採用における「就社」という意識はもう昔のもの。上記の調査によると、5割超の学生が「勤務地・職種は自分で選びたい」という時代になっています。また、「配属ガチャ」という言葉も生まれて久しく、学生たちにとっては、自分の未来を他人にすべてゆだねる、という考え方自体が、今や「不安」の象徴となっているともいえそうです。

つまり、今の時代、新卒採用であっても採用ペルソナは「会社軸」ではなく「職種軸」で決めるべきものなのです。自社の社風にあった人、考え方が自社と合う人、という考え方は、ほんの1ミリ程度でいいかもしれません。
 総合職採用をこれまで行ってきた企業が、意中の学生に内定を出しても辞退されてしまうのは、こうした意識のずれに理由があります。学生にとっては「こんな職種で仕事をしたい」というモチベーションが働いているにもかかわらず、企業は「ウチの会社に勤めるメリット」をプレゼンしてしまう。それでは、マッチングには至りません。

会社 × 学生 ではなく、職種(仕事) × 学生

 さて、そうなると、多くの新卒採用担当者さんは困ります。

 総合職採用で設定してきたペルソナは、これまで「会社軸」で作られたものでした。
新しく作り直そうにも、中途採用の経験もない担当者さんは「営業職にはどんな人がなって、何を活かそうと思って就職の理由となるのか」「事務職の場合、どんなモチベーションで就職をするのか」を考えた経験が薄いからです。

・自社の営業職の仕事内容
・自社の営業職の魅力
・自社の営業職のやりがい
・自社の営業職の辛いところ
・自社の営業職が向いている人

これらを、職種がある分だけまずは整理し、把握する必要があります。

 「自社のペルソナ」が3つあり、募集職種が3つある場合、9つのペルソナを作り直さねばなりません。どちらかというと、中途採用の考え方に近いものと言えます。人材流動性が増していく中、今の学生は、一つの会社に長く務めることを考えない傾向にある、とも言われる中で「新卒採用の中途採用化」が起こっているとも言えるでしょう。
 
「自社の文化と適応した学生に長く働いてもらおう」

と考えるのではなく

「学生の人生にとって、自社のこの職種はどんなメリットがあって、学生のどんなモチベーションを満たせるのか」

を緻密に考えることが必要です。

そのためには、職種を知ること。営業職の楽しさ、理系営業職の楽しさ、企画職の楽しささまざまなロールを複線で想像し、定義する必要があります。

ペルソナ設計を外部委託するメリット

 人事のマンパワーに限りがある中で、そんなことやっていられない!という担当者の方へ、ペルソナ設計という作業を外部委託する、という打ち手をお勧めします。

<ペルソナ設計を外部コンサルティング会社にサポート依頼するメリット>
・プロのノウハウと、体系化された職種の知識がある

 営業職~事務職、技術職の楽しさややりがいをみんな知っている担当者さんはなかなかいません。専門的な企業は、会社として「採用」に携わっているからこそ、過去から蓄積された職種知識があり、理論立ててペルソナを説明できます。

・情報収集の時間をアウトソースできる

 この職種は何を考えていて、年収がいくらだとこんなライフステージで一つ一つ考えると時間がどんどん過ぎていきます。独自の情報を持っている採用専門企業に相談することで、その時間を短縮できます。

 ・考えすぎなくて済む
 ペルソナ設計は、場合により無限に考え込んでしまいがちなもの。しっかりした会社であれば「これ以上は考えなくてよいです」と言ってくれますし、いわゆる「ドツボ」にはまるのを避けることができます。心身ともに疲弊することが多い採用担当にとって、これも大切なことです。

 とはいえ、「すべてを外部委託する」のは本末転倒。自社のペルソナを自社で定義する、そのサポートとしての引き出しを持っている会社を、うまく選びましょう。 

もちろん、弊社でもそちらのご相談に乗ることができます。もしご興味を持たれた方は、下のボタンまでお問い合わせください。

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