制作実績300社以上のディレクターが語る「会社説明会スライドのポイント」

多くの会社説明会スライドが抱える2つの問題点
「会社説明会を見直したい」。そんな相談をいただいて現在使用中のスライドを見せていただくと、大きく分けて2つの問題点のどちらか、またはその両方を抱えていることに気づきます。今日はこれまで300社以上の会社説明会スライドを制作してきたディレクターが、スライド制作のポイントを解説します。
1、<問題点1>伝えたいことが整理されていない場合
もし機会があれば、貴社の内定者に「うちの会社説明会での説明内容で何を覚えている?」と質問してみてください。内定も獲得し、会社を理解しているはずの内定者が何も覚えていないということが実は多くの会社で起きています。
その内定者はたまたま内定までつながりましたが、もしかしたら説明会の内容が印象に残らず、選考に進まなかった、途中で辞退したという優秀な学生も多くいたのかもしれません。採用担当としては、できるだけ多くの学生に印象付けしたいものです。
ではなぜ、説明会が学生の印象に残らないか。 それは説明する側に、「説明会の目的」と「求める学生に一番伝えたいこと」が明確になっていないからだと考えています。 それではある小売業A社を例に、目的と伝えたいことをまとめてみましょう。
■小売企業A社の例
会社説明会の課題 |
・何となく応募してきている学生が多い気がする。 |
---|---|
会社説明会の目的 |
求める学生群に「選考に進みたい」と思ってもらう 。 |
求める人物像 |
・ビジネス志向のある学生 |
一番伝えたいこと | A社に入社すれば、消費者に対して「仕掛ける仕事」ができる ! |
こうして整理すれば、説明会は1から10まで説明する場ではなく、限られた時間の中でいかに一番伝えたいことを心に響かせる場であるかがわかります。
2、<問題点2>効果的な説明をするための武器がない場合
2つめの問題点は「求める学生に一番伝えたいこと」は明確でも、それを説得力をもって伝えるための武器を持っていないというケースです。 写真やエピソード、分かりやすいデザインなどがそれにあたりますし、必要であればスライドの枠を飛び出してムービーにその機能を持たせるというのももちろん「あり」です。
私はA社から会社説明会の見直しを依頼された時に、「仕掛け」を体感してもらう方がいいなと考えて、約10分でできる2人1組のミニゲームを導入しましたが、参加後の学生アンケートではこのゲームについて「理解しやすかった」「こんな仕事をしてみたい」と書いてくる学生が非常にたくさんいました。
このように伝えたいことが明確なら、どう伝えるかの部分でいくらでも工夫はできるし、それは「武器」になりうると思います。
また、広告やホームページ、パンフレットなどのために撮影や取材をすると人事担当者も現場の話を聞くことができるので、これが実は大きな武器になります。スライドに書いてあることを読み上げるのではなく、生きた情報を流れにあわせて差し込むことで、わざわざ対面で行う意味がでてきます。
3、会社説明会は、動機付け最大のチャンス
採用ホームページや入社案内パンフレットにはちゃんと予算や手間をかけるのに、会社説明会にはあまり力を入れていないという会社は少なくありません。
しかし採用プロセス面から考えると、会社説明会はインターンシップと並ぶ動機付け最大のチャンスです。もしここで選考に進む学生の歩留を10%改善できたとすると、それは後の選考に大きな影響を与えます。
ぜひ知恵を使って、採用プロセス最大の動機付けチャンスを活かしていきましょう!