(7)【アサーション/自分の気持ちを素直に伝える技術】/社会人に求められるもう一つの能力「感情知能(EQ)」

あなたには「言いたいけど言えない…」とガマンしたり、「断りたいけど断れない」場面はありますか。
逆に、強く言い過ぎてしまって、「人を傷つけてしまったな」と後悔することはありますか。
自分の気持ちを素直に相手に伝えることができれば…。
自分も相手もWin-Winな姿勢で、自己主張するスキル「アサーション」を身につけましょう。
アサーション「自分の気持ちを素直に伝えるスキル」
・ハッキリ言いたいけど、相手を傷つけてしまうのが怖い
・断りたいけど、相手の機嫌を損ねたくない
・自分がガマンすれば済むこと
・波風を立てたくない
そんな心理が働くことが多いようです。
非主張的(ノン・アサーティブ)な態度です。
相手との円満な関係を壊さないように、心配りをしている優しい人です。
しかし、言わないために、その大切な心配りも相手には伝わらないことが残念です。
自分の思いも伝わらず、ストレスが溜まり、積もり積もると爆発してキレます。
・私が正しい
・何でわからないのか
・強く言わないと、相手の意見に負けてしまう
・どうしてくれるんだ
こんな気持ちでいっぱいになっているかもしれません。
攻撃的(アグレッシブ)な態度です。
物事はハッキリ伝わりますが、自分の利益ばかりを優先し、相手の気持ちを汲み取らずに自分の考えを押し付けてしまう人です。
人との衝突が多いタイプです。
状況によってはパワハラと受け止められることもあります。
非主張的(ノン・アサーティブ)なタイプの人は、こうなることを最も恐れているため、言いたいことをガマンするとも言えます。
【「言いたいこと」「言いづらいこと」「言うべきこと」を率直に伝える人】
・この場はキチンと話そう、伝えよう
・素直な気持ちを伝えよう
・相手の気持ちにも気を配ろう
・勝ち負けや闘いではないので、伝え方を工夫しよう
相手に配慮しつつも、自分の意志や意見についてきちんと伝えようとする人です。
素直な自己主張(アサーティブ)ができるタイプです。
アサーティブな人には、こんな前提があります。
・私たちは、互いに、尊重される必要がある
・言う権利があるし、敢えて言わない権利もある
・相手に受容れられる伝え方ができる
決して感情的にならず、相手の立場や気持ちも尊重しながら、自分の考えや気持ちを
伝え、断りたいこと、断るべきことは、キッパリ断れる人です。
こんな態度で、人とコミュニケーションが取れるようにありたいものですね。
●言いたいこと、言うべきことを決める習慣
自分の考えを明確にし、自分の言動に責任を持つ姿勢で会話しよう
●他者を柔軟に受容する習慣
自分の考えだけに固執せず、必要に応じて相手の考えも聞き入れる姿勢を忘れないようにしよう
●相手を責めずに自分の気持ちを素直に伝えてみる習慣
相手を責めずに、「して欲しいこと」「して欲しくないこと」を伝えよう
(1)言いたいこと、断りたいことをはっきり決めましょう
感じていること、言いたいこと、言うべきことをハッキリさせてみましょう。
また、なんとなく断れないではなく、断りたいか、断りたくないか、あるいは条件によって引き受けるのかを明確にしてみましょう。
(2)自分を主語にして、「私(たち)は…」と話してみよう
「あなたは…」「おまえは…」と切り出すと、相手を攻撃する表現になりがち。
「私は…」「私たちは…」と自分を主語に話すと、自分の気持ちだけを話すことができ、相手を攻撃しないので、自分も話しやすく、相手も受け容れやすい伝え方ができます。
(3)理詰めでなく、気持ちを素直に伝えよう
相手を説得しようとすると、どうしても理屈っぽくなりがち。さらに、「~すべき」というこちらの考えを押し付ける伝え方になりがちです。言われた相手は、理屈で反論したくなってしまうでしょう。
一方、自分の「気持ち(思い、感情、願い) 」は、もともと自分のもの。その気持ちに共感してもらう方が、「して欲しいこと」「して欲しくないこと」を相手に理解してもらいやすくなります。
(4)して欲しい(欲しくない)ことをはっきり伝えよう
伝える時は、迷いなく「言い切る」ことも大切。「できれば…」などの、曖昧な言い方だと、相手は説得したくなってしまいます。「ごめんなさい、でも、~しないで欲しいんです」のように、ハッキリ言いきりましょう。
(5)その結果、互いがどんな良い状態になるかを話そう
「言いづらいこと」は相手にとっては「聞き入れづらいこと」でもあります。でも、あなたの言い分を聞き入れるてくれたら、双方にとって、どんな良いことになるのかを伝えておきましょう。
アサーションの基本姿勢は、Win-Win です。
(6)断る時は、まず、お礼、お詫び、そして、断る理由も添えよう
いきなり「ムリ!」。では、身も蓋もありません。
あなたを指名してくれたり、誘ってくれたりした人に対して、引き受ける時はお礼を言いますよね。
断る時も、まずは「お礼」から。
さらに、お断りするのですから、お詫びを述べることも忘れてはなりません。
そして、お断りする「適切な理由」も添えてください。
本当の理由が望ましいことは言うまでもありませんが、問題とならない範囲で「嘘も方便」もありです。
(7)断る時は、代替案も付け加えよう
あなたを頼って依頼した人の申し出を断るのですから、相手は当てを失い、困ってしまうこともあります。
「明日ならできるのですが‥‥」「Bさんに頼んでみるのはどうでしょうか」など、代替案を提案することも大切です。
(8)何より、感情的にならないように、自分の気持ちをコントロールしよう
慌ててしまって、つい引き受けてしまう人も、カッとなって言い返してしまう人も、元をただせば、自分の感情の高まりに流されてしまうことにあります。すぐに反応するのではなく、ひと呼吸置くなどして、自分の感情を静めてから、自分の言いたいこと、言うべきことを伝えるようにしてみましょう。
次回は、人との関係構築の第一歩【オープンネス(自己開示力)】です。