心理学をビジネスに活かそう!(7)学習性無力感

皆さんの職場にこんな傾向はみられませんか。
「意見を言わなくなる」
「指示待ち人間が増える」
「新しいことに挑戦しない」
もしかすると「学習性無力感」が蔓延しているかもしれません。
■学習性無力感とは
努力しても思ったような結果が得られないことが続くことで、行動することを諦めてしまっている状態のこと。米国の心理学者であるマーティン・セリグマンが明らかにしました。
会社や職場では、こんな例があります。
自社にはない経験を活かして欲しいとキャリア採用されて入社した社員が、初めはその気になって、何度も独自のアイディアを絞り、行動しようとしたものの、現場の上司や同僚に「前例がない」「うちでは無駄だよ」と否定され、協力が得られない状態が繰り返されていくうちに、「ああ、この会社では無理なんだな」と学習してしまい、ついにはやる気がなくなってしまう。
■この学習性無力感は伝染します。
特に、管理職や先輩社員の「頑張っても評価されない」「うちでは無理だよ」という否定的な言動を繰り返し聞くことによって、新入社員や若手社員は、何もしないうちから諦めてしまう空気を感じ取ってしまいます。これがチーム・組織に蔓延してしまうと、チームの活力は低下します。
■チームの学習性無力感を防ぐために
●人の意見を聞くスキルを身につける
ミーティングや会議で、参加者の発言を頭ごなしに否定せず、まずは受け止めて、発言に対して「ありがとう」とお礼を述べることをルールにしましょう。
参考にできるところは取り入れることを表明しつつ、疑問や反論を共に話し合い、互いに納得のいく結論に結び付けていきましょう。
「何か言うと叱られる」ではなく、「発言しても聞いてもらえる」という心理的安全性を組織メンバーが学習していけるような「聴くスキル」。
リーダーとして、上に立てば立つほど、このスキルが大切です。
●否定語を減らし、肯定語を奨励する
つい、現実路線の維持にこだわり、目の前の安全を確保するために「ダメだ」「無理だ」「無駄だ」という否定語が増えていませんか。もっとどうありたいか。どうしたらできるか。未来を思考する習慣を増やし、否定語を肯定語に変えて会話していくようにしてみましょう。
●「ほめる」「認める」会話を増やす
特にチームリーダーは、「ほめる」「認める」ポジティブな声掛けを意識して増やしていきましょう。ほめる、認めるは承認欲求を満たし、その喜びはその人の次の行動を促します。
■活力ある職場づくりのために
「話を聴いてもらえた」
「アイディアを検討してもらえた」
「意見を取り入れてもらえた」
このように「努力が報われた体験」を一人ひとりが増やしていくことで、学習性無力感は払拭され、活力のある職場づくりにつながります。