心理学をビジネスに活かそう!(14)モデリング

貴社では、お手本となる社員の言動を観て、多くの社員が同じような望ましい言動をとるようになった。そんな経験はありますか。これはモデリングという社会的学習理論で説明される学習行動です。
■モデリング
古典的な心理学では、学習には自分自身で体験することが必須と考えられていました。
ところが、自分は体験しなくても、他者を観察するだけで行動を学習することが可能であるという「社会的学習理論(モデリング理論)」を提唱したのが、スタンフォード大学の心理学博士 A.バンデューラです。
代表となる人を観察させることで、大多数の人々に学習させることができるとしたモデリング理論は、その後、教育学や社会学、そしてキャリア理論にも大きな影響を与えました。
■代理強化
モデリングが起こる上で最も大切なのは「代理強化」であると言われます。
会社の同僚が、成果を上げて表彰される姿を観て誇らしく思い、自ら成果を上げるような努力を各々が始めるようになる例は、まさにこの「代理強化」にあたります。
■モデリングの効果
(1)観察学習
お手本となる人の行動を観察し、新しい行動を学習することです。
とても上手に接客する先輩を観て、自分もあのようになりたいと思い、真似をし始めるようなことです。
(2)制止・脱制止効果
業務の上で、軽い気持ちで行ったある行為が法令に触れる寸前に発覚し、未然に法令違反を防止できたことを社内会議で知らされます。
これを観た社員は、法令違反をしないために、こういう点に特に注意しようと心に刻むことになりやすく「制止効果」が高まります。
反対に、上司から「手抜きはだめだよ」としつけられている社員が、多くの先輩社員が手を抜いている仕事ぶりを観て、手抜き行為が増えることがあります。「脱制止効果」と呼ばれます。これは悪い例ですね。
(3)反応促進効果
同僚が毎日少しずつ英語の勉強をしてTOEIC700点を獲得したのを観て、周囲の社員も英語の勉強を進んでやり始めるなどの例が「反応促進効果」です。
■モデリングでより良い職場づくりを
さて、モデリング効果を応用して、良い行動習慣を職場に広めるために、皆さんのチームでは、今日から何ができますか。