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心理学をビジネスに活かそう!(17)返報性の法則

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心理学をビジネスに活かそう!(17)返報性の法則

「出張帰りにお土産を買ってきてくれたら、自分も出張したらお土産のお返しをしないと申し訳ない」気持ちになりませんか。このような気持が起こることを「返報性の法則」または「お返しの原理」と呼んでいます。


■返報性の法則

人から何かを受け取ったときに「こちらもそれに見合うお返しをしないと気が済まない」という気持ちが生まれる心理効果のことを言います。


「バレンタインデーにチョコをもらったのでホワイトデーでお返ししないと・・・」
「年賀状をいただいたので、こちらも送らないと気が済まない」

「無理を聞いてもらっている取引先なので、他社に乗り換えられない」

 こんな経験は日常的にたくさんあるのではないでしょうか。
人から良くしてもらったときに「お返しをしたい」気持ちになる。
元々私たちが持っている「義理と人情」に近い感覚ですね。

この返報性の原理を、押しつけにならないように、意識的に活用できる。
これは、ビジネスや人間関係構築でも役立ちそうです。


■好印象の返報性

●笑顔には笑顔で返したくなる



あいさつを「笑顔」でしてくれる人には、自然とこちらも笑顔になりますよね。
好印象や好意を伝えてくれると、人は同じように好印象や好意を返してくれることが多いです。

第一印象が好印象だと、信頼関係などの良い関係が築きやすくなります。
逆に「敵意」のような印象を伝えてしまうと、相手も敵対的になりがちですので注意したいですね。

 

 ■譲歩の返報性

●自分も利益を譲歩すると、相手も利益を譲歩したくなる

 店頭で「欲しいな」と思っていると、「せっかく気に入ってもらったので、今日だけ特別にこれだけ値引します」とオファーされると、少々高くても買ってしまったという方もいるのではないでしょうか。



テレビ通販でも、商品は良いな、価格もまぁ妥当だな・・・・と思ってみていると、「特別オファー」とか「今だけ特別半額セール!」と言われると、購入を決めてしまう。こんなところに応用されていることも多いですね。

「値引」だけでなく、「納期」を譲ってもらった・・・「順番」を譲ってもらった・・・「良い席」を譲ってもらった・・・などもあります。


■人との心の距離を縮める「自己開示」

 
●失敗談や弱みを自己開示する

相手が自分自身のちょっとした「弱み」「失敗談」を話してくれると、こちらの緊張や警戒感も緩み、「はい、私こそ、こんなダメなところがあるんですよ」などと話したくなる気持ちが起こりやすくなります。



例えば、

「今朝、スマホを持って出るのを忘れちゃって、取りに帰って遅刻ギリギリになっちゃった」

・・・と言われると、自分にも似たようなことがあれば、話したくなります。

「あります、あります。私も、先日、ランチのお店にスマホ忘れて、大騒ぎしちゃいました」

あまり重い失敗ではなく、クスっと笑える程度の話題がいいですね。

■ギブ&ギブの精神が大切

よくギブ&テイクといいますね。

このギブ(して差し上げること)とテイク(していただくこと)のバランスが取れないとスッキリしないことが多いため、相手もギブを返してくれる。これも返報性の法則です。

ただし、「貸し借り」のように、貸しを返してもらうことを期待してしまうと、相手が返してくれないと不満を抱いてしまいます。良い関係を築くどころか、自分の中に恨みがましい気持ちを作ってしまっては何にもなりませんね。



ギブは根に持たないことが大切です。

見返りを求めず、次のギブを考えて行動していきましょう。
その方が良い心理状態が生まれ、良い結果につながることが多いようです。

ギブ&テイクではなく、「ギブ&ギブ」で行きましょう。

 

■返報性の法則を活かすために


●負担の大きいギブは避ける



それほど親しくない段階で、過剰に親切過ぎるギブを与えれば、相手は「下心」や「見返り」を感じ、警戒してしまいます。また、高価過ぎる贈り物は、お返しに経済的負担をかけてしまいますのでNGです。

●お返しを求めないギブ&ギブ精神



「無料っていうからサンプルをお願いしたら、しつこく購入勧誘された・・・」
「無料体験を利用したら、その後、毎日3通もメールが来るようになった・・・」

こんなパターンは、良い関係を壊してしまいます。

お返しを求めてしつこく勧誘したりセールスで追い詰めずに、良い商品・サービスなら「欲しいと思ったら購入してくれる」と信じて行動していきたいものです。





スマートに活用すれば、いろいろなシーンで活かせる「返報性の法則」。
さて、皆さんは、この返報性の法則を、どんな場面でどう活かして行きたいですか?


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