心理学をビジネスに活かそう!(2)アンコンシャス・バイアス

人には自分では気がついていない偏ったものの見方があります。
アンコンシャス・バイアスと呼ばれます。
その人の知識、価値観、過去の経験が反映されたものの見方でもあります。
人がアンコンシャス・バイアスを持っていることは、普通のことでもあり、そのこと自体が悪いわけではありません。
ただし、無意識であるがゆえに、人を傷つけたり、不利益を与えることにつながることもあるので注意をしたいところです。
では、どんなバイアスがあるのでしょうか。
■正常性バイアス
多少の異常事態が起こっても、それを大したことがない(正常な範囲)と思い込むことで、心の平静を保とうとする働きです。
製品の返品が数件発生しても、何かが起こっているとは考えずに、まあそういうこともあるだろうと見過ごしてしまうとか、他部署で早期離職者が出ても、自分の部署には起きないだろうと過小評価してしまうようなケースが当てはまります。
■ステレオタイプ
特定の属性(国籍、宗教、性別、世代など)を持つ人に対して付与される単純化されたイメージのこと。
例えば、高齢者はスマホやPCは苦手というイメージなどもステレオタイプと言えます。
■権威バイアス
専門家や上位の権威ある人は正しいと信用してしまいがちなこと。
専門家や上司の見解や意見に従えば間違いないと思い、よく吟味せずに鵜呑みにして行動する例があげられるでしょう。
■確証バイアス
自分が既に持っている先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合の良い情報ばかりを集める傾向のことです。
タバコを吸う人が、タバコと健康問題とは因果関係がないことを立証しようとして、タバコを吸っても95歳まで長生きした人や禁煙のストレスで体調を壊した人の例などを集める行動なども当てはまります。
若い世代の世論形成にも大きく影響していると言われるSNSなどでも、自分と同じ意見の人の書き込みだけを検索していき、反対意見には接しようとしない傾向がみられることも指摘されています。
■楽観性バイアス
根拠なく「私だけは大丈夫!」と感じてしまうこと。
この楽観性バイアスと正常性バイアスは、災害時の逃げ遅れのように、緊急事態での対処行動の遅れにつながるので注意が必要です。
■同調性バイアス
「皆と一緒だから大丈夫」「周りに合わせておく方が良い」と思う傾向。日常生活では協調性につながるというメリットもあります。
ただし、同調は悪い面に働くこともあります。
例えば、組織内でのハラスメントを見て見ぬふりをしている人に、自分も合わせて見なかったことにしてしまう。このような同調行動が増えれば、重大なコンプライアンス違反を生み出す組織風土となってしまうでしょう。
■ジェンダー・バイアス
例えば、育児期の女性社員は大変だろうと負担の少ない業務に配置する。一見社員に優しい会社のように感じます。
ところが、残業は少ない反面、スキルが育まれない業務に、本人の意に反して、アサインされてしまったらどうでしょうか。
「マミートラック」と呼ばれるように、いつまで経ってもスキルを発揮できない、伸ばせない仕事を周回しているだけに感じられてしまうとしたら、周囲はにとっては善意の配慮のつもりが、本人には大きな不満要因となることもあります。
■アンコンシャス・バイアスへの対処
では、私たちは無意識に持っているバイアスにどう向き合えば良いのでしょうか。
次の3ステップをお勧めします。
(1)まず、一般的にはどんなアンコンシャス・バイアスがあるかを知ること
(2)自分には、どんなアンコンシャス・バイアスがあるかに気づくこと
(3)悪い結果を回避するために、どんな言動を取るべきか落ち着いて考えること
さて、あなたには、どんなバイアスの傾向がありますか。