転職活動している人の「転職理由」を分析してみました

増加し続ける求人件数により、採用に苦戦している企業は多いと思います。増え続ける求人数に対し、転職者数は2020年、2021年と2年連続で減少。2021年の転職者数は290万人。コロナの影響もあり前年比で31万人の減少となっています。(【厚生労働省】令和4年版労働経済の分析)
増える求人、減る転職者。当然のように高まる採用競争率に採用基準や待遇の見直しと、数少ない転職者を捕まえるために変化を取り入れる企業も少なくありません。
採用成功を実現するためには転職者を知ることも重要なポイントとなります。ということで今回は転職者の「転職理由」をちょっと調べてみました。
<転職理由14項目>
A.より顧客に貢献したい
B.社会に貢献したい
C.会社に利益貢献をしたい
D.経営にかかわりたい、職位を上げたい
E.管理者、リーダーとして働きたい
F.新しい仕事に挑戦をしたい
G.事業を立ち上げたい
H.新しいものを企画したい
I.グローバルに働きたい
J.製品・技術にこだわりたい
K.人と接する仕事をしたい
L.経験を活かしたい
N.スキル・技術を深めたい
M.待遇をよくしたい
上記はリクナビNEXTが「転職理由」として定義した14項目。リクナビNEXTの登録者データ(※1)によると「転職理由」で最も多かったのが「A.より顧客に貢献したい」。多くの企業が採用ターゲットとしている若年層(21~35歳)でもこの順位は変わりませんでした。
5歳毎の年代別(※2)で見ても「A.より顧客に貢献したい」は45歳までのすべての年代で1位でした。
「A.より顧客に貢献したい」を年代毎の比率で見ると「20歳以下:28.00%」ですが「21~25歳:18.27%」、「26~30歳:13.64%」と「46~50歳:9.83%」まで徐々に比率が落ちていて、若手ほど顧客貢献への意識が高いことがわかります。
一方、男女別で見ると1位が異なります。男性の1位は「J.製品・技術にこだわりたい」、女性の1位は「F.新しい仕事に挑戦をしたい」となっています。男女とも「41歳~55歳」の世代で、対象の項目が1位になっており、若い世代は男女とも「A.より顧客に貢献したい」が1位になっていることが特徴的です。
年代や性別で傾向が違い、なかなか興味深いです。
採用ターゲットの転職理由を踏まえて採用活動でのアピールポイントを決めてみるのも効果的かもしれませんね。
例えば、採用ターゲットが若年層だった場合、「若手ほど『より顧客に貢献したい』ことへの意識が高い」傾向があるので「自社の顧客貢献」をアピールすることは有効と考えられます。
[A]顧客へどのような価値を提供しているのか
[B]顧客からどのような支持を得られているのか
[C]同業他社との差別化ポイントは
上記はアピールするために最低限押さえておきたいところです。3C分析フレームに当てはめると整理しやすいかもですね。
自社が考える顧客貢献の形や顧客満足向上への取り組みなど、密接な関係となる企業理念、企業文化、経営戦略、クレドなどを踏まえることで自社らしさ≒他社との差別化、自社の強みにもつなげられ、「価値提供」、「差別化」をアピールすることができます。とくに『より顧客に貢献したい』とあることから他社との差別化は重要となります。
「顧客からの支持」は、お客様からいただいた言葉やお客様とのエピソードなどを具体的にアピールしたり、契約件数、販売件数、売上高、業績、店舗数、登録者数、取引社数、シェア、成長率などを数値も含めてアピールしたり。顧客の視点も踏まえることで自社がどれだけ顧客に貢献できているかリアリティを持たせることで『より顧客に貢献したい』と考える転職者へのアピール強化につながります。
どの転職理由項目でもアピール抽出のための基本設計は一緒なので、ほとんどの転職理由項目に転用が効くと思います。
いくつかのセグメントでTOP5をまとめてみましたので、もしよければ参考にしてみてください。
<若年層(21~35歳)のTOP5>
[1位]A.より顧客に貢献したい(13.63%)
[2位]F.新しい仕事に挑戦をしたい(11.14%)
[3位]K.人と接する仕事をしたい(10.40%)
[4位]H.新しいものを企画したい(9.59%)
[5位]N.スキル・技術を深めたい(9.11%)
*上記(●●%)は「21~35歳」を全件としたときのシェアとなります
<若年層(21~35歳)×男性のTOP5>
[1位]A.より顧客に貢献したい(13.29%)
[2位]J.製品・技術にこだわりたい(9.94%)
[3位]F.新しい仕事に挑戦をしたい(9.60%)
[4位]B.社会に貢献したい(9.26%)
[5位]H.新しいものを企画したい(9.16%)
*上記(●●%)は「21~35歳×男性」を全件としたときのシェアとなります
<若年層(21~35歳)×女性のTOP5>
[1位]A.より顧客に貢献したい(14.13%)
[2位]F.新しい仕事に挑戦をしたい(13.39%)
[3位]K.人と接する仕事をしたい(12.94%)
[4位]H.新しいものを企画したい(10.23%)
[5位]N.スキル・技術を深めたい(10.13%)
*上記(●●%)は「21~35歳×女性」を全件としたときのシェアとなります
<全世代のTOP5>
[1位]A.より顧客に貢献したい(11.12%)
[2位]F.新しい仕事に挑戦をしたい(10.12%)
[3位]H.新しいものを企画したい(9.49%)
[4位]B.社会に貢献したい(9.33%)
[5位]L.経験を活かしたい(9.02%)
*上記(●●%)は「全世代」を全件としたときのシェアとなります
<男性のTOP5>
[1位]J.製品・技術にこだわりたい(11.09%)
[2位]A.より顧客に貢献したい(10.86%)
[3位]B.社会に貢献したい(9.97%)
[4位]H.新しいものを企画したい(9.46%)
[5位]F.新しい仕事に挑戦をしたい(8.95%)
*上記(●●%)は「男性」を全件としたときのシェアとなります
<女性のTOP5>
[1位]F.新しい仕事に挑戦をしたい(12.68%)
[2位]A.より顧客に貢献したい(11.69%)
[3位]K.人と接する仕事をしたい(10.69%)
[4位]M.待遇をよくしたい(10.16%)
[5位]L.経験を活かしたい(9.97%)
*上記(●●%)は「女性」を全件としたときのシェアとなります
<年代別回答率(「A.より顧客に貢献したい」ver.)>
[20歳以下](28.00%)
[21~25歳](18.27%)
[26~30歳](13.64%)
[31~35歳](12.16%)
[36~40歳](11.41%)
[41~45歳](10.97%)
[46~50歳](9.83%)
[51~55歳](10.88%)
[56~60歳](9.51%)
[61歳以上](7.15%)
*上記(●●%)は5歳毎の各年代を全件としたときのシェアとなります
※1:リクナビNEXTログイン30日以内、東京都在住の登録者107,724人のうち、レジュメから「転職理由(14項目)」の回答を確認できた22,994件のデータ(22年11月23日時点)
※2:年代別=20歳以下/21~25歳/26~30歳/31~35歳/36~40歳/41~45歳/46~50歳/51~55歳/56~60歳/61歳以上