2025年度卒学生向けインターンシップはどう変わる?~インターンシップ情報が採用活動にどう使用できる?

現大学2年生より、インターンシップのあり方が変わります!
2022年6月13日に文部科学省、厚生労働省、経済産業省の三省連名で「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」という資料が広報され、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」が改正されました。そのポイントを整理したいと思います。
1、定義変更の概要
- インターンシップと新卒採用の現状をふまえ、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の三省が合意のもと、定義変更がなされました。
- インターンシップを内容や目的によって、産学協議会によって4つのタイプに分類されました。
- インターンシップで得た学生情報を、採用選考で使用することが<タイプ3>のインターンシップに限って可能になりました(タイプ4も可とされていますが、まだ産学連携により試行中)。
- 学生情報の取得時期によって、情報を使える時期と目的が決められています。
2、インターンシップで得られた情報を採用活動で活用可能に
「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(平成27年度に最終改正)」では、インターンシップで取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使用してはならないという内容が三省で合意されていました(これを三省合意といいます)。
その内容を受けて、「採用と大学教育の未来に関する産学議会」が、令和4年4月に公表した報告書の中で、インターンシップについて新たな定義を定め、一定の基準に準拠するインターンシップで得られた学生情報は、その情報を採用活動開始後に活用可能とすることで産学が合意に至ったとし、経済産業省、文部科学省及び厚生労働省が、三省合意により2022年6月13日、改正を発表しました。
3、再定義されたインターンシップの定義は?
「採用と大学教育の未来に関する産学議会」により再定義されたことにより、インターンシップは「オープン・カンパニー」「キャリア教育」「汎用的能力・専門性活用型インターンシップ」「高度専門性インターンシップ」と、4種のタイプに分類されました。
タイプ | 内容 | 目的 | 取得学生情報の 採用活動への活用 |
---|---|---|---|
<タイプ1> | オープン・カンパニー | ■個社・業界の情報提供・PR | NG |
<タイプ2> | キャリア教育 | ■教育 | NG |
<タイプ3> | 汎用的能力・専門活用型 インターンシップ |
■就業体験 ■自らの能力の見極め ■評価材料の取得 |
採用活動開始 以降に限り可 |
<タイプ4> | 高度専門型 インターンシップ |
■就業体験 ■実践の向上 ■評価材料の取得 |
▲(試行中) |
このうち、2023年2月までに取得した学生情報の採用活動への活用は、<タイプ3>の場合のみ「採用活動開始以降に限り」利用できるとしました。高度専門型の<タイプ4>は修士向け、博士向けのプログラムを現在産学連携により試行中のため、一旦「▲」としています。
また、「採用活動開始以降」とは具体的に、2023年3月以降の広報活動、2023年6月以降の採用選考活動を指します。
4、採用選考に学生情報を利用できる<タイプ3>のポイントは?
■<タイプ3>の内容まとめ
学生の参加期間 (所要日数) |
■汎用能力活用型(5日間) ■専門活用型(2週間以上) |
---|---|
就業体験 | 必須(学生の参加期間の半分を超える日数を職場で就業体験) |
実施場所 | 職場(職場以外との組み合わせも可) ※テレワークが常態化している場合、テレワークも可 |
実施時期 | 学部3年、4年ないしは修士1年、2年の長期休暇期間 (夏休み・冬休み・入試休み・春休み) |
インターンシップ 終了後 |
職場社員が学生を指導し、インターンシップ終了後にフィードバック |
情報開示 | 募集要項等において必要な情報開示を行う |
上記基準を満たすインターンシップは、実施主体(企業または大学)が基準に準拠している旨を宣言した上で、募集要項に「産学協議会基準準拠マーク」を記載可となります。
<補足>
- 主に、企業単独、大学が企業あるいは地域コンソーシアムと連携して実施する適性・汎用的能力ないしは専門性を重視したプログラムを想定
- 無給が基本。但し実態として社員と同じ業務、働き方となる場合は、労働関係法令の適用を受け、有給。
5、実施時期別に見た学生情報の取り扱い
いつ学生情報を取得したかによって、使用できる時期と活動内容が異なります。下記の表にてご確認ください。
■2025卒採用における取扱いの考え方まとめ
インターンシップなどの 学生情報取得時期 |
インターンシップで 取得した学生情報 |
基本的な学生情報の取扱い |
---|---|---|
卒業・修了前年次2月末まで (~2024年2月まで) |
<タイプ3>のインターンシップに限り2024年3月以降は広報活動、2024年以降は採用選考活動に使用可能。 | インターンシップをはじめとするキャリア形成支援などの取り組みで取得した学生情報は、広報活動・採用選考活動に使用できない。(広報活動・採用選考活動で取得した情報は差し支えない) |
卒業・修了前年次3月~5月 (2024年3~5月) |
学生情報を広報活動に使用できる。 タイプ3のインターンシップに限り、6月以降は採用選考活動に使用できる。 |
|
卒業・修了前年次6月以降 (2024年6月~) |
学生情報を使用できる。 |
※広報活動:採用を目的とした情報を学生に対して発信する活動。採用のための実質的な選考とならない活動
※採用選考活動:採用のための実質的な選考を行う活動。採用のために参加が必須となる活動。
今回は<タイプ3>のインターンシップと学生情報の取り扱いを中心にまとめました。
次回は<タイプ1><タイプ2><タイプ4>の定義を整理してまとめたいと思います。